九九(くく)を暗記知識で済ませない「探究 的な学び」の価値
九九(くく)は暗記作業と捉えることが多かったのではないでしょうか。九九を暗記知識だけで終わらせてはいけません。九九の狙いは数字のサイズ感を知ること。理解することは楽しく、主体性との相乗効果へ繋がります。数字の美しさ、パターンの面白さを知ることが子供の充実感も高めます。新たに学習指導要領に加えられた「探究学習」は、暗記競争からの脱却がテーマの一つ。子供が主体的に学び、解決するプロセスを重視する指針です。詰め込み知識や暗記知識に傾倒した時代の補完や反省も見て取れます。コンピュータ技術進化によるデジタル化社会は、知識と、検索できる情報がボーダレスだと言えます。探究学習を重ね、問題解決能力と自己表現力を向上し、正解の用意されていない課題と向き合える人材への成長が期待されています。
- 「探究学習」と深い関わりがある現代のデジタル化社会
- 「探究的学び」の対比としての「詰め込み教育」
- 九九(くく)を暗記知識で終わらせない探究学習の価値
- 正解が用意されていない問題へ向き合う力を育む
- 「探究的な学び」スキル向上に貢献するプログラミング教材「SPACEBLOCK ® (スペースブロック)」
「探究学習」と深い関わりがある現代のデジタル化社会
教育に求められる不変性と、情報化社会による変化許容
学習や教育は、学びとして伝える不変性と、時代による変化の二面性を持っているものです。子供が知識を蓄え、成長に必要不可欠な、大事な教育ですから、時代が変わっても通用する不変性が理想とされてきたのではないでしょうか。世代を越えて共有できるメリットも大きなものです。しかし10年前の教科書と今年の教科書には相違点が幾つもあるものです。30年前の教科書は、もっと多くの違いがあります。『教科書に載っていることは間違いがない』との固定観念は持つべきではありません。
授業や教科書を「一つの情報源」とする「探究的」な学びの姿勢
『教科書でさえ間違いがある時代』。いえ、教科書に間違いがあるというより、研究や情報により、のちに異なる事実が見いだされたと考えるべきでしょう。30年前の教科書について考えてみましょう。それは60年前の教科書との相違より、来年版との違いが多そうだと想像できます。30年という同じ時間軸ですが、デジタル化社会の膨大な情報により、多くのことが書き換えられました。暗記知識が、のちに別の回答に取って代わられることも増えるでしょう。詰め込みで蓄えた知識は、暗記力のみに留めず、その過程と考察を含めて、応用の利く知識となることが理想です。予測困難と言われる現代は、暗記知識の量よりも、知識を活用する能力が注目されていると言えます。
「探究的学び」の対比としての「詰め込み教育」
「探究学習」は詰め込み教育の方針転換・補完・アンチテーゼ
「探究学習」という言葉は新鮮ですが、未知の新しいものを取り入れるのではなく、視点や考え方を見直す施策と言えます。問題点が多い「詰め込み教育」の方針転換や補完、アンチテーゼでもあるでしょう。多くの知識を限られた期間内で蓄えることを目的とした教育の時代は終わったようです。情報は簡単に検索できる環境。従来、記憶知識の量が優先され、本質的な理解を後回しにした現状がありました。子供自身が問いを立て、調べ、考察した知識は、深い理解力と応用力を兼ね備えたもの。成果を得るまでのプロセスが子供たちにとって価値のある知的財産となります。
知識の受け取りから、主体的な問いの生み、解決する学びへ
高等学校では「探究」という独立した教科になっていないものの、科目化され、国語や社会、数学・理科等に、それぞれの探究が学習指導要領として明記されています。中学校・小学校でも探究学習の重要性が記されています。生徒の主体性に重きを置く指針は、まだ確立しているとはいえませんが、膨大な情報に子供自身がアクセスできる現状に、学習のアプローチは大きくカタチを変えています。教師が30人の生徒に向かい教科書を消化する風景は見直すべき点が多いようです。子供の疑問や発想は、自信で検索し、考察し、解決していくことこそが理想的な学びの景色だといえます。
九九(くく)を暗記知識で終わらせない探究学習の価値
九九(くく)が苦手な大人がいれば 得意な子供も多い
仕事で成果を上げる社会人の中に九九(くく)は苦手という方を散見します。小学2年生の授業で簡単に会得する子供と苦労する子供に、はっきり分かれるものですね。
「シチク ロクジュウサン」など仮名の響きで暗記する知識の代表格と言えます。語呂合わせの似た上の句と混同で記憶違いし、恥ずかしい経験が苦手へつながるもの。
「シチク ロクジュウサン」と「シク サンジュウロク」は暗記に加え、数字のサイズ感が理解できていると正しく、楽しく覚えられますね。7と9を掛けると70の数から7を引くサイズ感。「シチク」の設問に「サンジュウロク」とは誤答せずに済みます。「シチク」「シク」「シチロク」「シハ」「ハチシチ」「シロク」「クシチ」「ロクシチ」……数字のサイズ感が前提になければ、答えの下の句を仮名の響きで覚えても理解度が低くなります。
探究的に学ぶと楽しくなる 九九(くく)の背後にある数字の美しさ
九九(くく)には数字の美しさがあります。掛け算の順序を入れ替えても結果が変わらないので、表の対角線上に同じ数字が記されます。2の段は偶数のみ、5の段の末尾は5と0の繰り返し。不思議なルールや、ゲームのようなパターンを見ることができます。仮名の語呂合わせ暗記で済ませずに、不思議を発見することこそ「探究」にふさわしい学習と言えるのではないでしょうか。九九と言えば日本語のよう勘違いされがちですが、インドやアメリカの九九も興味深いものであることも知られています。
正解が用意されていない問題へ向き合う力を育む
予測困難な時代と向き合っていく、現代の子供たち
探究的な学びの興味深い特徴として、正解の用意されていない問題に向き合う点が挙げられます。2011年東日本大震災以降、ごく近年の感染症拡大、ウクライナ問題など、思いがけない大きな問題が立て続けに起こっています。改善や解決へ向け、他人事(ひとごと)とせず、自分なりの思考を持つ力を育む必要があります。他の人と異なっていても自身で導き出した思考に価値が生まれる時代と言えるでしょうか。暗記知識に傾倒した世代や環境の人には不得手な領域かも知れません。物知りではないが創造力に富んだ人物や、温かい人間味など多様な評価をされることでしょう。
探究的な学びは自己表現や問題解決能力を養う
単なる知識の習得だけでなく、探究的に物事を考える訓練を通じて、自己表現力も養われます。解答に行き着くまでの自分なりの考察を経たプロセスは、日常生活の別の場面でもその成果を発揮できるものです。また次の課題に取り組むときには、会得した問題解決のノウハウが発揮されるものです。貧困の村に対して、食料を施すより、作物の作り方教える方が長期に渡り効果的であるという例えが思い出されます。探究学習は、理解度が深まることに加え、応用力に富んだ成果を得ることができます。
「探究的な学び」スキル向上に貢献するプログラミング教材「SPACEBLOCK ® (スペースブロック)」
「探究的な学び」と、デジタル化社会・IT技術進化には密接な関係があります。日常生活に欠かすことの出来ないデジタル技術で、膨大な情報が、想像できないスピード感で行き来する現代だからこそ、探究的な学習によるスキル向上が求められます。
「SPACEBLOCK ® (スペースブロック)」は、直感で操作できるプログラミング教材。子供が探究的な学びを進める一環として、ゲーム感覚で楽しみながら、主体性をもって取り組めます。STEAM教育を念頭に、日本の教育課程に対応していることも特長的で理想的な教育ツールです。オンライン上で、どこからでもアクセスでき拡張性が高く、長年に渡って使用できるマイコンボードです。「SPACEBLOCK ® (スペースブロック)」は、経済産業省から探究学習等サービスとして認定され、全国の教育機関にも広まりつつあります。(※1)
(※1)
「探究的な学び支援補助金2023」は、学校等の教育機関と教育産業の協力により、探究学習等の高度化を推進する事業です。
・探究的な学び支援補助金2023のご活用について:
https://www.avad.co.jp/news/44/
・EdTech導入補助金2022 株式会社AVAD効果報告レポート(2022年度実施参考)
https://ictconnect21.jp/ict/wp-content/uploads/2023/03/EDT00078_2022report.pdf