2022年01月31日 12時00分

プログラミング教育の問題点とは? 家庭でできる対策も解説

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文部科学省により学習指導要領が改訂され、プログラミング教育は必修化されました。すでに小学校、中学校と段階的に実施が進んでいますが、プログラミング教育の必修化による新たな問題点も表面化しています。本記事では、プログラミング教育の問題点について詳しく解説します。



プログラミング教育実施における問題点

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学校でプログラミング教育を行うとはいえ、実施するために考えなければならない問題はいくつもあります。ここでは、プログラミング教育を行う際の問題点について解説していきます。特に学校・教員側で押さえておかなければならない内容です。

導入費用がかかる

学校でプログラミング教育を行うため、児童一人ひとりにタブレットなどを導入するところもあります。しかし、そのための導入費用は膨大です。学校によっては準備できないところや、準備を行うにしても時間がかかるところもあるでしょう。

文部科学省では、「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018〜2022年度)」(※1)の中で、必要経費として単年度1,805億円の財政措置を講じるとしています。しかし、学校の規模によってはこれ以上の費用が必要であり、また環境の整備にも時間がかかるため、早急な整備が求められています。

※1 出典:文部科学省「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018〜2022年度)」

インフラ環境の整備が不足している

学校全体でICT環境の設備を整える必要があります。たとえば高速インターネットおよび無線LANの整備、指導者用コンピュータの準備、大型ディスプレイなどの機器の導入、校務支援システムの構築などがあります。また、各コンピュータに専用のソフトウェアやオフィスソフト、セキュリティに関するソフトウェアの導入も必要です。

自治体によってはインフラ環境の整備に時間がかかるため、地域差が出てしまう点が課題です。

教員にプログラミング教育の知識・経験が不足している

指導する教員がIT技術に追いついていない点や、プログラミングの知識・経験が不足している点も大きな課題です。たとえば、2022年から必修化となる高校では、プログラミングやデータ活用を学習する新科目「情報I」が必修となります。しかし、2021年3月時点での文部科学省の調査(※2)によると、情報科担当教員約5,000人のうち、約1,200人は情報免許状を保有していません。

大学入試センターでは2025年の大学入学共通テストから「情報」を加えることを公表(※3)しているため、高校は早急に準備が必要です。

また近年では、小学校で英語の必修化、中学校でも武道・ダンスの必修化により、教員の負担はさらに増えています。特に小学校では全教科を担任一人で教えるため、今まで以上に負荷が高くなるという点も課題です。

※2 出典:文部科学省「高等学校情報科担当教員に関する現状について」

※3 独立行政法人 大学入試センター「令和7年度以降の試験に向けた検討について」

プログラミングの勉強は行わない

プログラミング教育が必修となるとはいえ、小学校では新たに科目が追加されるわけではありません。また、プログラミング言語を学んだり、実際にプログラミング言語を用いてプログラムを作成したりすることも行いません。

小学校では「プログラミング的思考を育む」ことが目的であり、国語や算数など他の科目の中で、論理的に物事を分析し、プログラミングの考え方を使って課題を解決することを重視しています。

どの科目にプログラミング教育の時間を組むかは学校側の判断によるため、本来の科目とのバランスを考えてカリキュラムを組む必要があります。

プログラミング教育の問題点

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ここでは、プログラミング教育を実際に受ける側の問題点について解説していきます。すでに小学校ではプログラミング教育が始まっているため、これからプログラミング教育を始める人は、押さえておくとよいでしょう。

従来の学習時間が減ることによる、基礎学力の低下

小学校では既存の科目の中にプログラミング教育の内容が組み込まれますが、科目トータルの授業時間は変わりません。そのため、プログラミング教育の内容が入ることで、既存の学習内容を学ぶ時間が減ることになります。

また、プログラミング教育はコンピュータを使い子供たちの興味を惹く内容であるため、従来の学習がおろそかになる可能性もあります。その結果、プログラミング教育ばかりに目が行くようになり、他の科目の基礎学力が低下する可能性が考えられます。

ネットを利用した問題が発生する可能性がある

小学校でもコンピュータを使うことで、多くの小学生がインターネットに興味をもつようになります。しかし、インターネット上でさまざまなトラブルが発生する危険性もあります。

たとえば、SNSで誤って自身の名前や住所などの個人情報を漏洩してしまうケースや、違法コンテンツを利用するケースが考えられます。また、インターネット上でのコミュニケーションでトラブルが起こることも少なくありません。

このようなトラブルを未然に防ぎ、安全にインターネットを活用するためにも、セキュリティ対策やネットリテラシーについてもしっかり学び、フィルタを導入するなど対策を行うことも検討する必要があります。

プログラミング教育で学ぶべきこと

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これまでプログラミング教育の問題点を解説しましたが、そもそもプログラミング教育で何を学ぶのか、目的を理解する必要があります。文部科学省が発表している「小学校プログラミング教育の手引」(※4)によると、プログラミング教育のねらいは大きく以下の3つと示されています。

・プログラミング的思考を育む

・コンピュータの仕組みを知り、上手に活用する

・各教科での学びをより確実なものとする

それぞれの狙いについて解説します。

※4 出典:文部科学省「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」

プログラミング的思考を身につける

プログラミング教育の目的の中で最初に挙げられているのは、「プログラミング的思考を育む」ことです。プログラミング的思考とは、コンピュータに意図した動きをさせるために、どのような動きをどのように組み合わせていけばよいか、論理的に考える力のことをいいます。

コンピュータはプログラムで動作しますが、プログラムは、1つ1つの動き(処理)を組み合わせて動作します。組み合わせの中には、順番に実行したり、繰り返したり、条件によって分岐させたりといった要素が含まれます。

そのため、プログラミングを行うには、意図した動きを行うためにどのように組み合わせるか、つまりプログラミング的思考がとても重要です。児童にプログラミングを体験してもらい、試行錯誤を繰り返しながら解決していくことによって、プログラミング的思考を育みます。

コンピュータの仕組みを知り、上手に活用できるようになる

プログラミング教育のもう1つの狙いとして、情報社会が情報技術によって支えられていることに気づき、コンピュータを活用して問題を効率的に正しく解決したり、ひいてはよりよい社会を築いたりする態度を育む、としています。

現在、すでに子供たちがコンピュータを使ってインターネットから情報を得たり発信したりしているものの、コンピュータの仕組みについては理解しないまま使っている場合が多いでしょう。コンピュータをよりよく活用するためにはコンピュータの仕組みを理解する必要があります。

また、すでにコンピュータが社会生活の多くの場面で使われているなかで、情報技術を学ぶことの大切さに気づくことにより、コンピュータをよりよく活用して今後の生活に活かすような態度を育むことが重要です。

他の教科への理解も深める

プログラミング教育を他の教科の学習にも取り入れることで、より理解を深めることが期待されています。たとえば、算数では多角形の作図の仕方にプログラミングの要素を取り入れたり、理科では電気の性質や働きについて、プログラミングを通して学習したりする場面が想定されています。

コンピュータの仕組みやプログラミング技術については中学、高校で学習しますが、小学校では他の教科の中でプログラミングを取り入れることで、プログラミングだけでなく他の教科の理解を深めることを重視しています。

家庭で行うプログラミング教育

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プログラミング教育は家庭でも行うことができます。家庭でプログラミング教育を行う場合では、どのような点に気をつけたらよいでしょうか。また、具体的にどうやって教育環境を整えればよいでしょうか。家庭で行うプログラミング教育について解説します。

プログラミング教育の目的を理解する

プログラミング教育の主眼はプログラミング的思考を育むことにあり、プログラミング技術を学ぶことではありません。プログラミング技術はプログラミング言語を学ぶ必要があり、子供のときから習得するのは大変難しいものです。そのため、プログラミング技術が分からず「プログラミングはつまらない」と思われることは避けなければなりません。

プログラミング言語はあくまでコンピュータに処理を伝えるための手段でしかありません。たとえば、同じ動作をさせるにもいろいろなプログラミング言語で表すことができるのです。子供には扱いやすいビジュアルプログラミングがあるため、これを利用して「プログラミング的思考」を育むとよいでしょう。

家族も一緒に学ぶ

コンピュータを思い通りに動かすには、何度もプログラミングしては試行錯誤の繰り返しです。そのため、周りと一緒に考えながらプログラミングをしていくのが有効です。

特に家庭では、家族も一緒になってプログラミングを学ぶとよいでしょう。コミュニケーション能力を育むことにも繋がります。子供に合ったプログラミング教材や、自由に創作できる教材を選びましょう。

家庭内にもプログラミングを学べる環境を整える

パソコンやタブレット、および高速インターネット環境があれば、家庭でもプログラミングを学べる環境が整います。インターネットを通して、プログラミング教育が学べるサイトもあります。

また、家庭でもコンピュータを利用するのであれば、インターネットを安心して利用できる環境を整えておくとよいでしょう。子供がパソコンを使う場合は、有害なコンテンツやサイトを利用しないようフィルタを設定する、ウイルス対策ソフトを導入する、パスワードを設定するといった、十分なセキュリティ対策を行いましょう。また、ネットリテラシーについて説明しておくことも大切です。

プログラミング教材の利用

プログラミング教材であれば、実際にロボットや組み込みボードを利用し、目に見える形でプログラムの動作を確認することができます。たとえばプログラミング学習教材の「SPACEBLOCK(スペースブロック)」なら、パソコンと小型の組み込みボードを接続することで作成したプログラムを転送し、画像や文字を表示させたり、簡単なゲームを実行したりすることもできます。

大切なのは、子供たちに「プログラミングは楽しい」と感じてもらうことです。プログラミング教材は、そのような工夫がなされているため、楽しみながらプログラミングを学ばせたい場合は、プログラミング教材を利用する方法も1つの手です。

問題点を把握し、家庭でも学びを取り入れよう

本記事ではプログラミング教育における問題点について、学校側の視点および子供たちの視点から解説してきました。問題や課題があるとはいえ、プログラミング教育にはしっかりとした狙いがあります。

・プログラミング的思考を育む

・コンピュータの仕組みを知り、上手に活用する

・各教科での学びをより確実なものとする

社会インフラを担う情報技術は今後ますます重要となるため、プログラミングはもはや必須と言えます。そのため、子供のころからプログラミングを学ぶことは大切です。最近では気軽に導入できるプログラミング教材も増えており、家庭で基礎から学び始めることも可能です。

家族で一緒にプログラミングを学び、子供たちが「プログラミングは楽しい」と感じられるようになるとよいでしょう。

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