2022年03月02日 12時00分

プログラミングを学ぶ意味とは? その理由や学ぶメリットを詳しく解説

2020年から全国の小学校でプログラミング教育が必修化され、中学校は2021年、高校は2022年から必修化となるなど、プログラミングを学ぶことの重要性が増してきています。しかし、いくらプログラミングが大事と言っても、子供のころから学ぶ意味はいったい何なのか、疑問に思う人もいるでしょう。

プログラミングを学ぶと何が得られるのか、どういうメリットがあるか、それらの疑問についても詳しく解説します。



プログラミングを学ぶ意味

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今や大人も子供もプログラミングを学ぶことの重要性が高まっています。プログラミングを学ぶ意味は何があるのでしょうか。ここでは、3つ解説します。

情報技術の進化に対応する

今や我々の生活において、情報技術は必須なものとなっています。例えば、電化製品や自動車、銀行のATMからネットショッピングまで、全てコンピュータが使われています。

コンピュータは、全て人間が開発したプログラムで動いています。プログラミングができないと、コンピュータがどう動いているのかもわかりません。発展する情報技術に対応するため、プログラミングを学ぶことは重要です。

論理的な考え方を身につける

コンピュータを動かすプログラムは、複雑でわかりにくいように思うかもしれませんが、実際はシンプルな命令を1つ1つ順番に動作するものです。

このシンプルな命令をいかに組み合わせるか、論理的に考えることが重要です。そのため、プログラミングを通して論理的な考え方が身につきます。

問題解決能力を身につける

プログラムは必ずしも正しい動作をするとは限りません。命令の組み合わせが誤ると、誤った動作や、エラーとなりプログラムが動作しません。「プログラムの不具合でシステム障害が発生」という事件をメディアで見た人もいるでしょう。

プログラムが誤動作しないためにも、入念なテストを実施し不具合を取り除く作業が必要です。この作業はプログラムを動かして問題を見つけては修正する、の繰り返しです。この作業を通じて、問題解決能力が身につきます。

そもそもプログラミングとはなにか

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「プログラミングを学ぶって結局何を学ぶの?」「プログラミングって何?」という疑問について回答します。

コンピュータに対する命令を作る

プログラミングとは、コンピュータに対する命令の集まりである「プログラム」を作る作業のことです。シンプルな命令を組み合わせて、目的の処理をコンピュータに実行させます。

コンピュータは簡単な命令を高速に計算・処理することが得意なため、今まで人間が行っていた作業をプログラミングすることで、人間の代わりに短時間で作業できます。

多くのプログラミング言語

人間にも日本語や英語など複数の言語があるように、コンピュータに対して命令する言語である「プログラミング言語」も多数あります。各プログラミング言語で得意・不得意があるので、作りたいプログラムに向いたプログラミング言語を学ぶ必要があります。

プログラミング言語はコンピュータに伝えるための手段であるため「どのように処理を組み合わせてコンピュータを動かすか」を考えないといけない点は共通しています。どのようなプログラムを作るにしても、プログラミングを学ぶことが大切です。

プログラミングを学ぶことによって得られるメリット

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実際にプログラミングを学んでプログラムを作れるようになると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは5つのメリットを解説します。

高収入が得られる仕事に就ける

プログラミングは「プログラマー」という職業からもわかるように、専門技術の1つです。社会が情報技術によって支えられている点からみても、需要の高い仕事であることがわかるでしょう。

さらに、今はIT人材が不足しています。経済産業省の調査(※1)によると、2030年には約45万人〜79万人が不足すると試算されています。IT人材の供給不足もあり、高収入が得られる仕事に就ける可能性が高いです。

※1 出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」

ITスキルが身につく

コンピュータを動かすための技術はプログラミングだけではありません。サーバーやネットワーク、データベースなど複数の技術が組み合わさっており、プログラミングはその中の1つです。プログラミングを知ることで、サーバーなどその他のITスキルも習得しやすくなります。

効率よくプログラムを動かすためには、ITスキルは欠かせません。ITスキルが幅広く身につくと、コンピュータを動かすための考え方や発想の幅も、どんどん拡がります。

作業を効率化できる

プログラミングを身につければコンピュータに作業を任せることができるので、格段に作業を効率化できます。例えば飲み物の自動販売機や駅の自動改札機なども、元々は人が行っていた作業からコンピュータに置き換わったものです。

作業を効率化することで自由な時間を生み、他の仕事に取り組めるなどのメリットが得られます。

どこでも好きな時間に仕事ができる

プログラミングができると、パソコンとインターネット環境があれば、どこでも仕事ができます。自宅にいながらにして副業でプログラミングを行うことも可能です。

コロナ禍でリモートワークが必要な状況でも、オフィスと同じように仕事を行うことができます。また、育児や介護などでなるべく自宅で仕事をしたいと考える人にとっても、どこでも好きな時間に仕事ができるようになることは非常に魅力的ではないでしょうか。

仕事の幅が拡がる

情報技術は多くの業界でも広がり始めています。例えば農業では農作物を育てるための温度調節にIoTを利用したり、製造業や倉庫業では在庫管理システムを利用したり、といった活用事例があります。

そのため、プログラミングを学べば多くの業界で活用できます。さらに今後AIを始めとした情報技術の発展により、業界問わずコンピュータが活用されることでしょう。プログラミングを学ぶことにより、仕事の幅が確実に広がります。

プログラミングを学んでも意味がない?

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「プログラミングを学んでも意味がない」「実際にプログラミングを勉強したが、あまりに難しくて挫折してしまった」という人もいます。なぜそのようなことが起こってしまうのか、解説します。

目的がない

プログラミングは、コンピュータを動かすための方法でしかありません。プログラミングによってコンピュータに作業を実行させることができますが、コンピュータに実行させる作業、つまり目的がなければ、せっかくプログラミングを学んでも活かすことができません。

「とりあえずプログラミングを学びたい」という理由で勉強したのでは、勉強した後に活用することができず「学んだ意味がない」と感じることでしょう。

また、目的を設定しても実現可能なものでなければなりません。段階的に勉強を進めることが重要です。

システムエンジニアやプログラマーにはなりたくない

「システムエンジニアやプログラマーにはなりたくない」という理由から、プログラミングを学んでも意味がないと考える人もいるでしょう。しかし、プログラミングはシステムエンジニアやプログラマーだけの技術ではありません。

オフィスソフト「Office」も、マクロでプログラムを組むことができ、業務を効率化できます。

勉強しても挫折してしまった

プログラミングスクールなどでプログラミングを学んだものの、思うように身につかず挫折してしまった人もいます。挫折してしまうのもいくつかの理由が考えられます。

プログラミングは作成したプログラムが思った通りに動くように何度も試行錯誤が必要ですが、いつまでも思うとおりに動かすことができず、モチベーションを失い挫折してしまうケースです。

挫折しないために、押さえるべきポイントを後述の「プログラミングの学習を失敗しないためのコツ」の章で解説していますので、ぜひ参考になさってください。

就職したがブラック企業だった

プログラムを作るのは大変な作業で、規模の大きいシステムだと多くの技術者が数年かけて開発する場合もあります。その際企業によっては長時間の残業を強いられる、いわばブラック企業のような状況もありえます。

もちろん、プログラミングに関係する企業全てがブラック企業というわけではありません。プログラミングを学んだことが原因ではなく、働き先が問題だったというだけです。プログラミングを学び自由に働いている人もたくさんいます。

プログラミングはどうやって学ぶ?

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ここでは、プログラミング未経験や初心者から学ぶための具体的な方法について解説します。

教材を使って独学

プログラミングはパソコンがあれば独学が可能で、関連書籍も多いです。独学に有効な教材としては以下があります。

・書店やネットショップで販売されている専門書

・YouTubeやUdemyなどのオンライン動画Webサイト

・プログラミング言語やソフトウェアの公式サイトにあるマニュアルやリファレンス

インターネットでは無料で得られる情報や開発環境もあるため、それらを利用して独学が可能です。これらを活用しましょう。

資格取得を目指す

独学で勉強するとなった場合、何らかの目標がないとモチベーションの維持が大変です。その意味でも資格取得を目指すのは有効な方法です。

「資格取得」という目標ができるだけでなく、勉強を通して必要な知識を網羅的に学べます。また、価値の高い資格を得ておくことで就職・転職にも有利です。

IT資格であれば、国家資格である「情報処理技術者試験」や、Microsoft社やOracle社が実施しているベンダー資格などが有名です。

プログラミングスクールに通う

お金に余裕があり、まとまった勉強時間が取れる人はプログラミングスクールに通うのもよいでしょう。プログラミングスクールを利用することのメリットは、わからない点をメンター(指導者)に質問できるということです。

また、プログラミングスクールのコースによっては転職支援を受けられるものもあります。

どこまでプログラミングを学べばいい?

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プログラミングを学ぶ方法は分かっても、どこまで学べばいいか疑問に思う人もいるでしょう。基本的なことを必要以上に学んでも意味がありません。効率よくプログラミングを学ぶための方法を解説します。

何か一つプログラムを作ってみる

プログラミングを学習する際のゴールとして適切なのは「何か一つプログラムを作ってみる」ことです。一つでよいのでプログラムを作り上げることを目標にしましょう。

大切なのは、プログラミングスキルで「何ができるか」です。そのために「これができます」とプログラムとして形にしておくのが1番です。簡単なプログラムでもよいので、思った通りに動くプログラムを作りましょう。

「何を作ればよいかわからない」と思う人は、書籍などを参考にし、もともとあるプログラムの例文を真似して作ってみるのでも構いません。

少しずつ幅を広げてみる

1つでもプログラムを作ったら、それを少しずつ改良していき、実行できる内容の幅を広げましょう。小さいプログラムから少しずつ機能を追加することで、やがて大きなプログラムを作ることができます。

例えば、小さなスマートフォンアプリを作ることから始めるとします。そのアプリにオリジナルの機能を搭載していき、最終的にそのアプリを公開して多くの人に使ってもらうというのも方法の1つです。自分で自由にプログラミングして機能追加できれば、十分プログラミングスキルを持っているといってよいでしょう。

学校のプログラミング教育は何を学ぶ?

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2020年から小学校でプログラミング教育が必修となりましたが、どのような内容を学校のプログラミング教育で行っているのでしょうか。学校のプログラミング教育について解説します。

小学校では「プログラミング的思考」を育む

小学校では「プログラミング教育」という科目が新設されるのではなく、既存の科目にプログラミングの要素を取り入れた内容の授業を実施します。例えば、算数で多角形を作図する際に「線を引く」「60度曲がる」といった手順を組み合わせる、といった内容です。

このように授業を通して、プログラミング言語を学ぶのではなく、その前段階である「どのように処理を組み合わせて意図した結果になるか、を論理的に考える」力を育むことが目的です。

中学校ではプログラミングで問題解決に取り組む

中学校ではすでに「技術・家庭」科目において学習内容に含まれていましたが、2021年度からの必修化全面実施により「双方向コンテンツのプログラミングによる問題解決」「プログラミングの制作および動作確認、デバッグ等ができる」点が盛り込まれています。

今までは基本的なプログラムを作成することが目的でしたが、2021年度からはプログラムを使って問題を解決することまでが含まれており、より技術的な面も学習するようになっています。

高校では「情報」科目が追加

高校では新たに「情報Ⅰ」が新設されます。内容としては情報技術の活用に主眼が置かれています。情報技術を有効活用して問題を解決する方法や、情報に関する法規や情報セキュリティを学習して適切に情報技術を活用することなどを学習します。

2022年度から必修化が全面実施となり、2025年の大学入学共通テストから「情報」が追加される予定です。

子供向けのプログラミング教材

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大人向けには書籍や動画など様々なプログラミング教材がありますが、子供向けにはどのような教材があるでしょうか。ここでは子供向けにおすすめの教材をご紹介します。

Scratchで実際にプログラミングする

「Scratch」は無償で公開されているビジュアルプログラミング言語です。画面上のブロックを並べて、プログラムを作ることができます。テキストを入力するものではないため、キーボードに不慣れな子供でも安心です。

多数のブロックが用意されており、画像やキャラクターもあるため、自由に組み合わせることで簡単なゲームも作れます。また、作成したプログラムを専用のWebサイト上に公開することも可能です。

ロボットを作ってプログラムで動かす

「embot」はプログラミング学習用ロボットがセットになっている学習教材です。ダンボールでロボットを組み立て、中にコンピュータを取り付けることで、ロボットを動かしたり、音を鳴らしたりできる点が特徴です。

プログラミングは専用アプリで行い、ブロックを線でつなぎ、組み合わせることでプログラムを作ります。ロボットの動作中にプログラムのどこが処理されているのかをアプリで確認できるため、ロボットが動作する仕組みがわかりやすくなっています。

小さなコンピュータをプログラムで動かす

「SPACEBLOCK(スペースブロック)」は手の平サイズの小さなコンピュータですが、様々な装置を取り付けることで様々な出力が可能となるプログラミング教材です。

パソコンとSPACEBLOCK(スペースブロック)を接続し、パソコン上でプログラミングしたものを転送することで、SPACEBLOCK(スペースブロック)に様々な情報を出力できます。LEDパネルを装着すれば文字や画像を電光表示することも可能です。

プログラミングの学習を失敗しないためのコツ

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大人でも子供でも、1からプログラミングを学ぶのは難しく、挫折してしまうこともあります。そうならないために、学習を失敗しないためのコツについて解説します。

目的・目標を明確にする

社会人になってプログラミングを学習するときも「アプリを作る」「サービスを開発する」「起業する」などの目標をもって取り組みましょう。

子供向けのプログラミング学習教材では、決められた課題をクリアすることでプログラミングを学んでいきます。このように「課題のクリア」などの目的・目標がないと学習は続きません。

達成できれば次の目標を設定し、少しずつ目に見える形で学習成果を可視化することで、モチベーションも維持できます。

相談相手をつくる

プログラミングの学習を独学でやろうとすると、わからないところで相談できる人がいないために挫折するケースが少なくありません。そうならないためにも、相談できる相手を作りましょう。友人に経験者がいればその人に相談する他、プログラミングスクールではメンターが相談にのってくれます。

子供がプログラミングを学ぶ場合では、保護者の方も一緒になってプログラミングを学ぶとよいでしょう。

プログラミングを学ぶのには大きな意味があります

本記事ではプログラミングを学ぶ意味とその方法について解説しました。今後も情報技術が発展した時代で、プログラミングの重要性もますます大きくなっていくことでしょう。

「プログラミングを学ぶ意味はない」という声も少なからずありますが、それは目的があいまいであったり、学習環境が不十分であったりと別の原因であるため、プログラミングを学ぶ意味がないわけではありません。

プログラミング教材を活用して、子供のうちからプログラミングを学ぶことは、将来大いに役立つと言えます。

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